人との出会い、その対策
夫に両手をついて涙を流して謝れば、元のサヤにおさまることができるかもしれない。
そう、考えた。
虫がいいかもしれないけれど、そのほうがラクだから。
私は自分が変心するのを、どこかで願っていた。
夫もそれを望んでいる、と感じていた。
私の気持ちがいったん離れたとはいえ、彼は根本的に、波風をたてるのが好きではない。
私が心を入れ替え、なにごともなかったように結婚生活が続けられるならば、そのほうを選ぶだろう。
私は自分の気持ちに、聴診器を当てるようにして変心をうかがいながら、毎日、セッセと仕事に励んだ。
そんな悠長なことは許されない事態になった。
父親が仕事先にも電話をかけてきて大変な事になった。
「いつ、電話してもウチにおらんやないか」「仕事、忙しいから」「仕事しとる場合やなかろう。
ウチのほうはどうなっとるんや」「すぐに2人でウチヘ来なさい」もう猶予はない。
実家で例のごとく、民主的な会議が催された。
しかし、この時はどうしたことか、みんなの気持ちが最初からひとつだった。
私を除いて。
で、魔女狩りのごとく、私に集中砲火が浴びせられた。
私は、開き直ってみせた。
いいの。
好きなだけ責めればいいわ。
どうせ、いつも悪いのは私なんだから。
ガンとして離婚を譲らない私に、攻撃し疲れた父がサジを投げた。
「そんなに離婚したいなら、もう勝手にせい。
でも、もう親でも子でもない。
二度とウチの敷居を跨ぐな。」
こんなセリフをライブで聞くとは思わなかった。
私は両親に同情した。
私の両親は田舎の人である。
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